そうして生きた
結局はただの塊です。肉です。喋るんです。笑うんです。皮膚が揺れるんです。生きてるんです。好きです。好きです。 あなたが女で、私は社会を愛している女ですから、女のあなたに性的衝動に近い気持ちを抱く事は私に耐え難い苦痛をもたらしました。 わたしは女です。社会性を愛する女です。カチリとはまる音がすれば安心するのです。大した事のない。 あなたは頬を引き攣らすように笑いますね。あなたは沢山の人に笑いかけますね。話しかけます。 あなたは沢山の人に好かれますね。あなたは人を好きになりますか?あなた一人は本当は何もない人ですね。 あなたはあたしとって本当につまらない事で泣く。人の気持ちを考えてるフリです。怖いんです。 わたしは、怖い。わたしは社会のなにものにもなれぬ事を恐怖する程に嫌悪します。 結果のないものは嫌いです。事実がすべてです。何事も公正で、何も恥じる事はありません。 あなたは誰も妬まない、誰をも疎まない、誰をも無条件に嫌う事はない、そんなスタンスを意図していますね。 それは、つまらない、事です。
 あなたのその乾燥した腕が、肩が、笑顔が。恥らうようにぬぐられた涙が、好きです。 狭い殻に。客観から逃げおおせたような殻に。あなたは居るんでしょう。 そうした存在であるという、相対的なその価値には興味がないんですか。あなたを好いた友人と、あなたと、それで嬉しそうにあなたは笑いますね。 あなた、あなた。あなたの、頬を舐めたいと思います。着ているニットの長袖に指をもぐりこませ、少しづつねぶる。 下腹部の真下にある穴に指を押し込む。熱を感じる。無論、実物を見た事等ありません。あなた、あなた、あなた、の。それが一体なんの意味があるっていうんでしょう。肉です。わたしは何度も繰り返します。 わたしは、どうしたら社会に愛されるか、どのように社会にアピールし、社会に馴染み、 どうすれば社会を味方につけられるか、そんな事は簡単です。頼りにされる立場になることはなんでもないことです。
わたしは、あなたに愛されない。
息をするようにわたしはカチリ、わたしは、沢山の人を好きでいます。沢山の人に好かれていると感じます。
わたしは、誰にも愛されていない。
わたしは両親に愛され、友人に愛され、友人を愛しています。恋人とキスをします。 わたしはあなたから頂ける笑顔に期待します。あなたがわたしに振る腕も、わたしを呼ぶ声も、名前を呼ぶ、声、ああ。 わたしは見たくない。あなた、あなたを取り巻くすべて放棄したい。煩い。疲れた。好きです。

2004,10.5